大唐見聞録 6話あらすじ
【登場人物】
雲燁(うんよう) 藍田県男(らんでんけんだん)、安瀾を守ろうとする
欽天監(きんてんかん) 天文の観測、暦の改訂、時報、吉凶の判断などを行う官職のこと
李安瀾(りあんらん) 安陽公主、頑固な性格、亡き母の田若蘭の名誉回復を第一に考えている
李世民(りせいみん) 皇帝陛下、自分の為に田若蘭が亡くなったことを悔やんでいる
李承乾(りしょうけん) 皇太子殿下、盧辛月のことが気になっている
李泰(りたい) 魏王、幼名:青雀(せいじゃく)、承乾の弟、兄のように戦いに出ることを望んでいる
長孫皇后(ちょうそんこうごう) 観音婢(かんのんひ)、義娘の安瀾に対しても実の娘のように真摯に向き合おうとしている
長孫無忌(ちょうそんむき) 趙国公、長孫皇后の兄
逸涵(いつかん) 長孫無忌と皇后の姪、14歳
盧辛月(ろしんげつ) 盧寿の孫娘、悲田坊で孤児の世話をしている優しい娘
李綱(りこう) 皇太子殿下の先生、盧寿の弟子
盧寿(ろじゅ) 山東貴族の長
三人の公主 安瀾の異母妹
無舌(むぜつ) 陛下の側仕え
【あらすじ】
〜朝堂〜
魏徴をはじめ文官達に公主冊封を反対されている安瀾をかばって、雲燁は欽天監の『火星が現れると大難が起きる』という話は非科学的な迷信だと強く非難する。双方言い争いになり、他の文官たちも加わり朝議は大荒れとなる。雲燁の無礼な態度に対する非難がおさまらず、ついには雲燁を斬刑に処すべきとの意見まで出てきた。
やむを得ず陛下はこの場をおさめるために、朝堂を軽んじた罪で雲燁を棒叩きの刑30回とし、それで不問とした。そしてその監督を魏王に命じたのだった。
陛下は皆の手前 雲燁を棒叩きの刑に処すと言っただけで、実際にきつい罰を与えるつもりではなかった。雲燁は承乾と泰が見ている前で、棒で叩かれている芝居をして痛がって大声で叫び続けた。
朝議で自分を守ってくれた雲燁の叫び声が聞こえ、涙する安瀾。亡き母の追封を認めてもらえるよう、誰もいない朝堂でずっと跪いている。
そこに皇后が近づいてきた。
「陛下は若蘭殿の追封は望んでいないし、大臣たちも反対するだろう。このようなやり方をしても母上の追封は叶わないし間違っている。まずは自身が公主らしく宮中の掟を学ぶべきではないのか?」と、厳しくも安瀾の立場を第一に考えた言葉を残して朝堂を出て行った。
雲燁の棒叩きの刑の芝居が終わったところに安瀾が近づいてきて、「無礼な私を何度も助けてくれて感謝する。簪も返したしあなたとの縁はここまで、私のことは放っておいて欲しい」と言い去って行く。
現代に帰る為に、安瀾にはなんとしてでも公主でいてもらわないと困ると思っている雲燁は、公主になることを望んではいない安瀾が不思議でならなかった。
〜陛下の部屋〜
陛下は、雲燁は頭は良いが常識外れで強情な男だと言う。承乾だけでなく、程将軍親子とも親しくしているようで、何か人心をつかむ術でも持っているのかと訝しむ。陛下は雲燁が大唐にとって役に立つのか災いとなるのか分からないと憂慮している。すると皇后が、陛下を安心させるために私に良い方法がありますと自信ありげに言った。
〜雲家〜
突然雲燁のところに、趙国公の長孫無忌(ちょうそんむき)がやって来て、姪の逸涵(いつかん)との縁談話を持ちかけて来た。この縁組が決まれば雲家も皇家の姻戚になると強調する。14歳という幼い年齢に気が進まない雲燁は、やんわりと縁談を断った。
すると、断るならば陛下の命に従って辺境で軍役につけ、と国公が言い放つ。この縁談が陛下の命だと知った雲燁は一転、お受けしますと言ったが 時すでに遅し 国公は憤慨して去っていってしまったー万事休すー
〜悲田坊〜
辛月が孤児の世話をしている悲田坊に、今日はたくさんの衣服や食料が届く。さらに高価なおかしも届けられ、不思議に思い辛月が外に出てみると、先日屋敷に忍び込んできた男(承乾)が立派な身なりをして立っていた。
承乾は先日のお詫びのため届け物をしたと明かし、辛月から民の生活の苦しさを聞いている時、太子であることを口走ってしまう。辛月は皇太子殿下に無礼を働いたお詫びと、贈り物に対するお礼として、幼少より身に着けている玉佩(ぎょくはい)を受け取ってほしいと、承乾に手渡した。それから辛月に招き入れられ、承乾は悲田坊の子供達と共に遊んだ。
~東宮~
承乾は辛月からもらった玉佩が気になって、勉強どころではない。先生の李綱(りこう)に、勉強に集中するよう注意されるが、王太医の山東貴族の件が気がかりで勉強に身が入らないと説明する。李綱は頑固な山東貴族の盧寿(ろじゅ)相手では解決は無難しい、何はともあれ今は勉学に励むべきだと話をそらす。しばらくすると美味しそうな匂いがしてきたので、承乾はおなかが痛いふりをして部屋を出る許可をもらった。
侍女や衛兵が集まり、東宮の門外で雲燁が串刺しの羊の肉を焼いている。待ってましたとばかりに雲燁は承乾に一本串焼きを渡し、お互いに頼みがあることを告げて二人はおいしそうに串焼きを食べ始めた。そこに承乾の先生が現れ、見つかってしまう。
部屋に連れ戻され、李綱は承乾と雲燁に説教を始める。雲燁は承乾が今修得しようとしている算学の問題を見て、簡単な子供向けのパズルだ、と言ってすらすらと答えを言う。驚いた先生は、まぐれで当たったかもしれないと、難しい算学(雉兔算、鶏兔算)の問題を出したが、雲燁はこちらもいとも簡単に解き、李綱を完全に負かしてしまった。
雲燁が承乾に、陛下の命で辺境送りになりそうで困っている話をすると、承乾は山東学者に勝って父上を喜ばせることができれば、その命令は取り消せるかもしれない、と言う。そこで二人はお互い助け合おう!ということで話がまとまった。
~陛下の部屋~
承乾と雲燁が陛下の部屋の前に来ると、安瀾の他三人の公主が跪いている。安瀾が他の三人を叩いたので皇后から罰を受けている、と無舌が承乾に説明した。
二人が陛下と皇后の居る部屋に入ってくる。承乾は雲燁が算学で先生を負かした事実を話し、山東学者に会う際に一緒に連れて行きたいと言う。自信満々に山東学者の件も任せてほしいと話す雲燁に、陛下は半信半疑だが、そこまで言うならばと許可をした。
許可を得て喜んだ雲燁はさらに、もしこの件が解決できた際には、安陽公主の罰を代わりに受けさせてほしいと願い出た。
【ポイント】
辛月が孤児の世話をしている悲田坊で、やっと承乾は名乗りましたね。おまけに皇太子殿下ということまで口走ってしまいます。辛月からお礼に渡された玉佩(ぎょくはい)を嬉しそうに眺める承乾は、勉強に身が入らないようです。ずっと憧れていた辛月からもらった物なので当たり前ですね。
雉兔算とは、中国の数学書『孫子算経』にある、雉(きじ)と兔(うさぎ)をつかった計算問題のことです(雉兔同籠) 日本でいうところの鶴亀算ですね。雲燁が太子の先生を負かすシーン本当に面白いです。言葉では説明できないのが残念。
安瀾の受けている罰を自分に受けさせてほしい、とまで陛下に直訴するなんて・・そこまで安瀾をかばうとは、雲燁も安瀾が好きになってしまったのでしょうか??
いえいえ・・安瀾には公主でいてもらわないと困る、自分が現代に帰ることができなくなってしまうとの思惑の方が強いです。安瀾のことが気になってはいますが、今はまだ、現代に帰ることが一番の雲燁です。
今後の二人の関係性に注目ですね~
最後まで読んでいただきありがとうございます。
以降もお楽しみに